中国が最近打ち出した一連の景気対策は、短期間に幅広く景気を刺激することより、リスク軽減が目的だと、JPモルガン・チェースの中国担当チーフエコノミスト、朱海斌氏はみている。

  朱氏は22日、ワシントンで開かれた国際金融協会(IIF)主催のイベントで、「これがゲームチェンジャーなのか、中国版の『必要なら何でもする』段階なのか、あるいは4兆元(約85兆円)規模の景気刺激策が新たに実施されるのかと問われれば、私の答えはノーだ。まだそこに至っていない」と語った。4兆元という規模は、世界的な金融危機が起きた2008年に中国が実施した刺激策に相当する。

  「政策シフトは見られるが、実際には180度の政策転換ではない」とも語った。

  一連の刺激策発表を受け、エコノミストの間では今年の中国成長率予測を、公式の目標である5%前後に向かって上方修正する動きが相次いだ。また中国株の大幅上昇にもつながった。だが当局が着実な景気好転に向けより強力な財政刺激策を実施する意向があるかどうかに懐疑的な見方が強まり、そうした熱狂は冷めてきている。

  朱氏は、中国が消費と内需を重視する姿勢を強めると考える投資家は、恐らく「失望が続くだろう」と述べた。

  中国政府は国内産業基盤の強化に重点的に取り組む姿勢を維持すると、朱氏は予測している。

  中国当局が生産性向上を図ろうとすることは妥当だが、現代の経済では生産性は製造業だけでなくサービス業からももたらされることを中国の当局者は認識する必要があるという。

  朱氏によれば、中国当局は慎重を期し、来年に刺激策を終わらせることはない見通しだ。「あまりにも早く迅速な引き締めで政策を終了する状況が繰り返されることは多分ない。25年に再びそうなることはないだろう」と述べた。

原題:China’s Policy Blitz Isn’t a Game Changer, JPMorgan’s Zhu Says(抜粋)

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