「シロネン、前回頼んだサングラスだが、もう少し調整してもらいたいんだ。特に、つるの先の模様が…ん?どこに行った…?まだ昼休みには早いというのに。シロネン!どこだ?依頼したサングラスについて、もう少し詳しく話したいんだが——」

——シロネンの工房前、大声で叫ぶマーヴィカ

◆名前:シロネン

◆称号:魂を鋳る烈火

◆ナナツカヤンの鍛冶職人

◆神の目:岩

◆命ノ星座:オセロット座

シロネンの卓越した鍛造技術は、とうにナタ中に知れ渡っている。

そのすばらしい技に憧れた人々が、各地から集まってくるほどだ。中には武器の鍛造を本気で依頼しようとする者もいれば、噂の鍛冶職人の顔を一目見て、世間話のネタを増やそうとする者もいる。

しかし、シロネンは人々のそういった思惑を、さほど気にしていない。他人にどれほど訳の分からない称号を与えられようと、彼女はあくまで一人の鍛冶職人なのだ。注文通りに鉱石を溶かし、材料を製錬して鍛造するのみである。

何故なら、称賛がハンマーを打ち付ける力を鍛えてくれることはなく、誹謗が火の温度を下げることもないからだ。

ただし、顧客が工房に足を踏み入れたとき、真っ先に迎えてくれるのは炎の熱気ではなく、記入事項だらけの用紙だ。

「鍛造の依頼?それは別にいいけど、その前に依頼の細かい部分を決めとこーよ。」

「コミュニケーションも仕事も、効率が一番大事だからさ。まずは何が欲しいのか、ハッキリさせないとね。」

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